皆さん、こんにちは。東京都町田市を拠点に、敷地調査や地盤調査、地盤改良工事を手掛けている株式会社スフィーダです。
建物を建てる時は、建物自体の設計やデザインだけでなく、地盤(土地)の状態にも目を向ける必要があります。建物自体がどれだけ頑丈でも、その下にある地盤が軟弱だと、安心して利用することはできません。
そこで、建物を建てる前に、地盤の強度を高める目的で行われるのが「地盤改良工事」です。ここでは、地盤改良工事の必要性や主な工法について解説します。
■地盤改良工事とは?
地盤改良工事とは、建物を建てる土地の地盤が弱いと判断された場合に、地盤を強化するために行う工事です。巨大で重量のある建物を支えるためには、それに見合った強固な地盤が必要です。もし強度が不足している地盤の上に建物を建てると、さまざまなトラブルを招くおそれがあります。そこで、建物を建てる際、必要に応じて人工的な処理を加え、地盤を補強しておくのです。
一般的な地盤改良工事のタイミングは、土地の契約と引き渡しが終了した後です。また、既存の建物に対しても、一部の薬液注入工法などによって下部地盤を改良できる場合があります。とはいえ、基本的には建物を建てる前に更地の状態で行う工事です。
■地盤改良工事はなぜ必要? 行わないとどうなる?
地面は一見するとどこも頑丈そうなので、地盤改良工事の必要性を感じられない方もいると思われます。しかし、軟弱な地盤というのは非常に危険なものなのです。地盤改良工事の主な目的や、地盤改良を行わなかった場合のリスクを見ていきましょう。
・地盤沈下を防ぐため
地盤の内部には、水や空気が入り込んだ「隙間」が存在している場合があります。こういった隙間が建物の重みや地震、地下水の汲み上げなどによって埋まり、地盤が陥没する現象が「地盤沈下」です。
地盤沈下が発生すると、その上にある建物も当然ながら沈下し、倒壊したり傾いたりするおそれがあります。このような事態を防ぐために、地盤改良工事によって隙間をあらかじめ埋めておく必要があるのです。
・液状化現象を防ぐため
地盤沈下と並んで注意が必要なのが液状化現象です。液状化現象とは、普段は互いに支え合っている土の粒子が地震の衝撃によってバラバラになり、周囲の水に浮いた状態になることで、地盤全体がドロドロの液体のようになってしまう現象をいいます。
液状化現象が起きると、住宅が傾いたり上下水道が破損したりし、生活や事業活動に大きな支障をきたします。地下水位が高い地盤で起きやすいので、地盤改良工事によって水分を抜いたり、支えを作ったりといった対策が必要です。
・地震や強風、交通振動などの影響を抑えるため
地盤がゆるい土地では、地震や強風による振動や、道路交通振動なども増幅されてしまいます。当然、上にある建物の揺れも大きくなり、時には破損や倒壊といった被害を招くでしょう。地盤改良工事によって地盤を引き締めれば、建物に伝わる揺れを抑え、被害を防ぐことができます。
・土地の資産価値を高めるため
地盤が軟弱で液状化現象や地盤沈下のリスクが高い土地は、どうしても資産価値が低くなってしまいます。これは、安心して利用できないのはもちろん、建て替え時に地盤改良工事を行わなければならず、手間と費用がかかってしまうからです。将来的に土地や建物を売却する可能性があるなら、しっかりと地盤改良を行って資産価値を高めるべきだといえます。
・建物を安心して居住・利用できるようにするため
地盤沈下や液状化現象などのリスクが高い土地で生活するのは、とても不安なものです。安心して建物を使えるようにするためにも、地盤改良工事は確実に行っておく必要があります。
■地盤改良工事が必要なのはどんな土地?
地盤改良工事は必ず行うわけではなく、地盤が軟弱である場合に実施します。では、具体的にどういった条件があると軟弱地盤だと判断されるのでしょうか? 主な対象ケースは以下の2つです。
・地盤調査によって軟弱地盤だと判明した場合
建物を建てる時は、地盤調査を行って地盤の地耐力(建物を支える強度)を計測します。この地耐力が基準値を下回った場合は、軟弱地盤であると判断し、地盤改良工事を行うのが原則です。
たとえば、主に戸建住宅を建てる場合に行われるSWS試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)では、地盤の強度を「N値」という数値で算出します。N値が大きいほど地盤の強度も高く、一般的にはN値が3以上(可能なら5以上)で十分な強度があると判断されます。
・土地履歴により軟弱地盤だと判断された場合
盛り土で作られた土地や、河川や湖沼を埋め立てて作った土地は、地盤が軟弱で液状化現象や地盤沈下が起きるリスクが高いと考えられます。また、実際に陥没や液状化などが発生したことがある土地も、軟弱地盤だとみなすべきです。
こういった情報は古地図や土地条件図、ハザードマップ、過去の調査結果や災害情報、周囲の建物の状況(傾きや壁のヒビなど)などから確認できます。地盤改良が必要ない土地を探したい時にも役立ちますが、地盤の性質はほんの100m離れただけでも変わっていることがあり、確実な保証にはならないので注意が必要です。
■地盤改良工事の工法
地盤改良工事にはさまざまな工法があり、地盤の状態や建てる建造物の大きさ・構造などによって、最適な工法が異なります。よく使われる3つの方法と、それぞれの特徴をご紹介します。
・表層地盤改良工法
表層地盤改良工法は、軟弱地盤が地表から2m程度の場合に用いられる工法です。地面を掘り起こして土とセメント系固化材を混ぜ合わせ、戻して十分に締め固めることで、地盤の強度アップや均等化を図ります。
メリットは、地表面だけを改良するので工期が短く、軟弱地盤が浅ければ他の工法よりもリーズナブルであることです。戸建住宅であれば1日~2日程度で終わります。また、石やコンクリートが混ざっていても施工できる他、工事による近隣への影響も最小限で済ませられます。地盤改良機ではなくバックホーを使用するため、狭い場所でも施工できるのも大きなメリットです。
ただし、勾配がきつい土地は施工が難しく、地下水位が地盤改良面より高い場所や地下水に流れがある地盤にも適していません。また、施工者の技術によって強度に差が出やすい点にも注意が必要です。
・柱状地盤改良工法
柱状地盤改良工法は、軟弱地盤が2m~8m程度の場合によく用いられる工法です。地面に碁盤の目のように規則正しく穴を開け、その穴にセメントを注入し土と混ぜた上で固め、多くの柱を作ることで建物を支えます。工期は建物の規模にもよりますが、柱の数が30本程度なら2~3日で完了します。
メリットは、柱と土との摩擦力によって建物を支えるので、強固な地盤がなくても施工できることです。柱の本数や間隔、太さなどを変えることで補強の度合いを調整しやすく、地盤の状態に合わせて対応しやすい点も優れています。また、無振動・低騒音の工事を行うことができます。
一方デメリットは、有機質土など一部の地盤ではセメントが固まりにくく、対応できない場合があることです。加えて、施工後は柱を取り除くのが難しく、撤去しようとするとかなりの費用がかかるため、土地を売却する際に価格が下がる可能性があります。
・小口径鋼管杭工法
小口径鋼管杭工法は、深さ約30mまでの地盤強化ができる工法です。基本的な考え方は柱状地盤改良工法と同じですが、セメントを流し込むのではなく鋼管を打ち込み、岩盤などの堅固な支持層まで貫入させることで建物を支えます。土質が悪かったり支持層が深かったりして、表層地盤改良工法や柱状地盤改良工法が適さない場合に使われます。
メリットは、他の方法に比べて地盤の強度が高くなることです。鋼管を回転させながら貫入させるので、無振動・低騒音での施工が可能で、残土も発生しません。鋼管は工場で生産されるため品質が安定しており、必要なくなったら比較的簡単に引き抜けるので、地価の低下を防げる点も優れています。
その反面、強固な支持層がなければ十分な支持力が得られない点がデメリットです。また、費用が高額になりやすく、工事中の振動や騒音が大きい点にも注意する必要があります。
■まとめ
地盤改良工事は、安心して使える建物を作るためには必要不可欠な工事です。地盤調査の結果や土地の履歴などから、地盤改良工事が必要だと判断された場合は、必ず実施しなければなりません。適切な工法は、地盤の状態や軟弱地盤の深さなどによって変わってくるため、信頼できる専門業者に相談して計画的に工事を行いましょう。
スフィーダでは、敷地調査から地盤調査、地盤改良工事まで完全自社対応で行っています。重機も自社保有しており、スピーディーかつ柔軟な対応ができるのが強みです。豊富な経験によって培われた技術力により、品質の高い工事をお約束します。地盤調査や地盤改良工事をご検討の際は、スフィーダまでお気軽にご相談ください。